日光  今市「天然氷」有限会社 松月氷室
第17回 TIA研修会報告   平成24年2月19日(日)取材

蔵元の店内氷室から採氷所の氷池までをレポート!

蔵元店舗所在地  栃木県日光市今市379  TEL  0288−21−0162


電話で事前に何度かお話をしていたとは言え、そこにたどり着くまでは、不安いっぱいでしたが、
挨拶をし、我々全員と名刺交換してからは、そのことも忘れてしまうほど、懇切丁寧なお人柄の社長様でした。
松月氷室と書かれた木の看板が店内に飾られ、ご趣味のオートバイが置かれていました。
4月末のゴールデンウイークから9月までは、このお店でかき氷が食べられるそうです。
訪れたのは、2月でしたので、かき氷は、ここでは、食べれませんでしたが、
このあと、松月氷室さんの天然氷を卸していて1年中食べられる日光東照宮内の「日光茶屋」さんに行きました。

 
お店を外から見たところ(夏は、長蛇の列)   蔵元の名が眩しいオリジナル旗      店内に飾られた大きな看板
                                         
店内奥には、天然氷貯蔵用の氷室があります。

天然氷を店内でかき氷や配達用に収められている氷室は、我々と同じく通電された氷室でした。
氷室に収められている今年採氷された氷を出して頂き、いわゆる「かき氷仕様」の大きさに
切り分けての実践作業を披露して頂きました。
我々の関心は、その電気式の携帯のこぎりにも目が向けられました。「ううん、使いやすそう!」


写真左・・・かき氷用の大きさに切った頂いている社長さん 我々は、その電気のこぎりにも関心があります。
写真中・・・”日輪”という日ごと出来る氷の層による並んだ小さな気泡がありますが、白くなく透明な天然氷でした。
写真右・・・かき氷機が夏場の出番を待つかのように数台保管されています。

氷池(ひいけ)は、2か所
お店から車で20分弱離れた場所の山中にある、氷池の1つを見せて頂きました。
そこは、まさしく天然氷と称されるにふさわしい環境のもとに育まれている処でした。
日光という地は、冬は、雨、雪が少なく、それでいてほどほどに寒く、我々の知るところの
天然氷が作られるにはふさわしい気象環境という地です。
訪れた時期には、今シーズンの作業を終え、氷池は、そのままの状態でした。
その大きさは、想像以上に大きく立派な氷池でした。

天然氷は、年間2回切り出し
氷の厚さがおおよそ17センチになると切り出し作業になるそうです。
これは、切り出しの前に作業員の動員をかけないといけませんから、予測をもとに行うそうです。
そして、13名ほどの人数で3日間を要しての作業だそうです。大変な作業ですね。

これらの天然氷は、近年人気が高くなり、松月氷室さんが夏季のかき氷として売るだけではなく、
日光界隈、あるいはそれ以外の関東近郊のお店(かき氷屋さん他)にも
卸している量も加わってのもので、なかなかの数量だと思います。

  
存在感のある大きな氷室(左は人です)  氷池に注がれる濾過装置付の源水  杉林の木陰に位置する氷池(切り出し終了)

氷池は、大きかった

この氷池は、計測していませんが、
観た感じ、40m強×20mぐらいの大きさがありました。
深さは、人のおへそ辺りと、おっしゃっていました。
(池の氷は、一番上の表面から下へ凍る性質があります。)
採氷時期になると、毎日池の上を箒で落ち葉等を除去する作業をするそうです。
風の強い日には、それ以上の回数の除去を必要とします。
 今年は、雨や雪の心配もなく、西高東低の冬型の気圧配置が続き、
寒さも厳しかっそうで、とても順調に氷ができ、早々と2回の切り出しを終えたそうです。
雨が降ると直接池の氷にその雨がそのまま凍ってしまうため作り直すそうで、
まだ、雪ならば、作業が大変ですが、その雪を除去する方法があります。

池の手入れも大変な作業だそうで、作り終えた現在こそは、やや、手が入っていない状態ですが、
このまま寒さで池が凍り過ぎてしまうと、氷による膨張などが原因で、
池自身を傷めてしまう為、氷池外側を割ってとる作業をしなくてはいけないそうです。
もちろん、その他の時期もメンテナンスは必要不可欠だそうです。(オフィシャルブログより)

氷室は、氷池の隣
氷室は、氷池のある場所とは、すぐ隣に位置していました。
しかも今回、その氷室の中まで案内して頂き、その内部を知る事が出来ました。
この時期には、外気との温度差は、感じられませんでしたが、暑い時期には、
外気との熱を遮断する工夫がされているものと推測されます。
天然氷は、大量のおがくずで包まれていて、1年中外部電力のいらない状態で
保存されています。写真に写されているのは、ほんの一部分で隣の部屋に
たくさんの今年の天然氷が夏季の出番を待っています。

  
氷池から見た氷室         氷室に収められている「おがくずと天然氷」  氷室の天井には、熱の遮断工夫が・・・。   

天然氷のかき氷は、やはり、おいしかった。しかも・・・・。
このあと、我々は、松月氷室さんの天然氷で作られているかき氷を食べたくて、
特別に社長さんに同行して頂き、日光東照宮の日光茶屋さんまで行きました。
このお店は、1年中かき氷が食べれるそうです。
(実は、前日、そのかき氷を食べようと行ったのですが、参拝後の午後3時20分には、
お店を閉じていましたので、食べられず、思い入れは、大きかったです。)

わくわくしながら我々10名が店内に入ると貸し切り状態になってしまうほどのお店で、
社長からお店の人に「みんな東京から来た氷屋です。」と、紹介されました。
10名がそれぞれ違う種類とも意見が出されましたが、2つずつ5種類ということで落ち着き、
注文をしました。
シャカシャカ・・・と作られ始め、・・・出来あがるかき氷を固唾をのみながら、拝見しました。
すると、かき氷が見事にその存在感を自ら誇らしげに形づくっているではありませんか!
そう、シロップがかけられてもその雄姿が崩れないのには、驚きを覚えました。
もちろん、かき氷を削りとり、お皿に盛り付けるお店の方の技も素晴らしかったとは言え、
それだけとは、到底思いません。ふんわりと、そして芯のある存在感でした。
心踊らされた自分に、もう冷静な気持ちでは、スプーンをさしのばすことは、出来ずに、
見る見るうちに食べ進んでしまいました。こんな真冬の2月だというのに・・・。
「おいしい!」「くずれない!」「次は誰?」興奮と歓喜の声の連続でした。
ある者は、「自分、こんなおいしいの、・・・食べたことないっす!」
日光茶屋のお店がしばし、場所不釣り合いのオジサン連中に占領された瞬間でした。
2012年2月19日午後12時過ぎでした。

 
「白桃」かな? ふんわり、かき氷が立っている!   「黒糖黒みつ」かな?夢中で忘れました。

蔵元 松月氷室 社長さん 誠に見学、同行のご協力有難うございました。(^-^)